例年3月から4月にかけて開催しているゼラニウム展では園芸品種や野生種を合わせ約350種類を展示しており、国内で最大規模の展示会です。
当園のコレクションの中でも特に貴重なものが「変わり葉ゼラニウム」と呼ばれる、葉に芸を持つ品種群です。明治末期から大正時代に欧米から輸入された品種をもとに日本人の感性で独自に改良され発展し、大ブームを巻き起こしました。
しかし、戦後は衰退の一途をたどり、現在では品種消失の危機にあります。当園は日本で唯一、変わり葉ゼラニウムの品種保存とその歴史を後世に継承する活動を行っています。
変わり葉ゼラニウム
野生植物と異なり、人の手で作り出された園芸品種は人の手によって維持されない限りこの世から消失する恐れがあります。一時は銘鑑が作られ、非常な高値で取引されるほどの人気を博した変わり葉ゼラニウムも、栽培者の減少やそれに伴う鑑識眼を持つ人材の不足により消失の危機に瀕しています。
広島市植物公園で保有する43品種は、大正時代から生産、販売していた専門業者や趣味家から収集したもので、現存する品種のほとんどを網羅する日本最大のコレクションです。
ナショナルコレクション認定
これまでの取り組みが評価され、2020年12月、当園の保有する「変わり葉ゼラニウム品種群」が(公社)日本植物園協会のナショナルコレクションに認定されました。
ナショナルコレクション認定制度とは?
「野生種、栽培種に関わらず、日本で栽培されている文化財、遺伝資源として貴重な植物を守り後世に伝えていく」ことを目的に2017年より始まった、植物コレクションの認定・保全の制度。当コレクションを含めこれまでに9つのコレクションが認定されている。