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ヤチシャジン

ヤチシャジンは、日本と朝鮮半島から中国東北部に分布し、明るい湿地に稀に生えるキキョウ科の多年草です。

環境省レッドリスト 絶滅危惧ⅠA類(CR)

広島県レッドデータブック 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)

日本国内では4県(愛知、岐阜、岡山、広島)で自生が報告されていますが、愛知県では絶滅したとされ、その他の県でもわずかしか残っていない、絶滅が心配される植物です。

広島市植物公園では、1995年からヤチシャジンの保全事業に取り組んでおり、生息域外保全株の展示を行っています。

ヤチシャジンの保全に向けた取り組み

広島市植物公園では、広島県世羅郡世羅町(1995年当時は 甲山町)から依頼を受け、1995~1996年はヤチシャジンの苗の増殖、2008年から2016年までは、ヤチシャジンの保全のための調査研究を行いました。まず、ヤチシャジンを種子から開花に至るまで人工的に栽培するため条件を調査しました。その結果、日当たりを良くすること、土を乾かさないように注意すること、根域は冠水(水に浸かること)させないことが重要であることが分かりました。

ヤチシャジンの試験栽培の様子

2013~2015年にかけて、自生地に近い環境でヤチシャジンの植栽展示を成功させること、ヤチシャジンの野生復帰に必要な生育特性を明らかにすること、自生地の理想的な保全に有効な管理方法を明らかにすること、の3つを目的として、種子から増殖した苗を自生地に近い「せら夢公園自然観察園」に植えつける試験を行いました。今ではヤチシャジンはせら夢公園自然観察園で半自生状態となり、毎年、夏に紫の花を咲かせるようになりました。

せら夢公園自然観察園でのヤチシャジンの試験植栽の様子

生息域外保全について

絶滅のおそれのある生物を安全な施設に保護し、増殖することで絶滅を回避する取り組みを生息域外保全といいます。せら夢公園での試験植栽終了後、自生地にもしものことがあったとき、その地域のヤチシャジンが絶滅することがないように、「生息域外保全」を目的としたヤチシャジンの栽培をはじめました。

また、増殖した苗をうらら池(園内にあるため池)北側の「里山の野草園」に植栽展示したり、開花期間中、来園者に見ていただきやすい場所に鉢植えを展示するなどして、ヤチシャジンという植物を知っていただく取り組みを始めました。

広島市植物公園では、ヤチシャジン以外にもトウゴクサバノオ、ネコヤマヒゴタイなどの広島県内産種を中心に生息域外保全を実施するなど、日本の絶滅危惧植物の保全に取り組んでいます。

ネコヤマヒゴダイ

環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

広島県レッドデータブック 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)

広島県東部の蛇紋岩地帯にのみ分布する。2021年から広島大学と共同研究を実施している。

ヒゴタイ

環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

広島県レッドデータブック 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)

瑠璃色で球状の花を咲かせる草原の植物。
生活様式や土地利用の変化により激減。播種による増殖・展示を実施している。

オグラセンノウ

環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

広島県レッドデータブック 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)

山間部の湿地帯に見られるナデシコのなかま。

挿し木、播種により増殖したものを展示している。

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