花後の手入れ (咲きがらの始末)

5月下旬頃には一番花が終わります。花後、花がらを切り整枝し、6月下旬からの二番花の開花準備をします。花のすぐ下には1〜3枚葉が着き、次に3〜9枚葉があります。3枚葉の所からは、細い枝しか発生しないので、5枚葉(本葉)の5mm位上で、角度をつけてきります。(5枚葉の2段目位) 1本の枝で5〜7枚葉を3〜4枚、木に残してやります。切る時、次の芽の伸びる方向を考えて切る位置を決めます。

フロリバンダ(FL)種は、房全体が咲き終わつたら、一番上の5枚葉で切ります。クライミング(CL)種は、枝の元に2〜3枚の葉を残して切ります。
 ※ 5枚葉の5mm上を外芽で角度を付けて切る。
 ※ 花芽のない花枝(ブラインド)も切り戻す。
 ※ あまり深切りしないで木に多くの葉を残す。

 

シュ−ト処理 (新梢の扱い)
株元の地際から、赤く太い勢いの良い柔らかくて新しい枝が発生します。これをベ−サルシュ−トと呼び、将来の主幹となる大切な枝です。(5〜8月頃まで発生)この枝により木の更新をおこないます。放任しておくと、先がほうき状に分かれ細い枝になり、すぐに開花します。5枚葉が6〜8枚位(全体の長さ30〜40cm)になつたら、5〜6枚葉を残して柔らかい先の部分を折り取ります。
 ※ シュ−トは次の世継ぎ、絶対に秋まで開花させない。(シュ−トの4段目位)
 ※ 本葉5〜6枚(約30cm)でピンチし2段目以降も同様の作業をくり返す。
 ※ 根元から発生する、小葉が多く、薄緑色で小さい葉は台木のノイバラなので、元より掻き取る。
 ※ 8月下旬以降のシュ−トは未熟なので使用できない。
 ※ 新苗(今春に接ぎ木して植えたもの)は蕾を取り開花させない。
 ※ CLは支柱をし、結束し秋まで伸ばしておく。



施肥
多くの花を咲かせて養分を消耗しているので、早期に樹勢を回復させる。速効性の化成肥料(N,P,K,の配合されたもの)を一株あたり20〜30g株元に散布し軽く耕します。液肥の500〜1000倍を一株あたり5〜10リットル与えてもよいです。
 ※ 基本的にはバラは肥料食い。生育期間中は盛夏を除いて肥料切れさせない。
 ※ 鉢植えバラは液肥や油粕ダンゴなどの置き肥を与える。
 ※ 一度に多く与えないで、小量、薄めにし回数を多く。


灌水
鉢植えは乾いたら与えます。露地植えは、1週間位晴天が連続すれば、タツプリ与えます。マルチングしてやれば、乾燥、雑草、雨滴の跳ね返り防止となります。台風や強風で倒伏しないように、支柱に結束します。鉢植えは屋内に取り込みます。
 ※ 与える時はタツプリと、毎日小量ずつ与えない。
 ※ 置き場所や、植え込み用土を考えて与える。
 ※ 高温時期日中はやらないで朝夕に、夕方葉水も効果的。

病害虫防除
バラは日本の高温多湿の気候は苦手です。梅雨時の病気や害虫は早期に対策をしましよう。殺虫、殺菌剤を混用し、定期的に、予防を重点に行います。なるべく農薬を使用しないように、不要枝を間引いて、通風や日当たりをよくしましよう。木酢や酵素などの有機農薬も使用してみましよう。
 ※ 発生してからでは遅い、予防的に早めに散布。
 ※ 高温時には薬害の出るおそれがあるので、朝、夕の涼しい時に。
 ※ 耐性がでるので薬の種類を替えて使用する。
 ※ 定められた濃度を守り、安全には十分注意して行う。
 ※ 効果的な防除機器を使用する。


主な病害虫とその対策

病害虫名 症状 発生時期 予防法 治療薬
黒星病

葉に黒い円形斑点。進行すると落葉
 4〜11月まで発生
 18〜20℃適温。
 梅雨時期多発。

冬期石灰硫黄剤(10〜 30倍)
 キャプタン剤(オ−ソサイド)
 ダイホルタン剤
 ジネブ剤(ダイセン)
 TPN剤(ダコニ−ル)
 クレソキシムメチル(ストロビ)
 マルチング(被覆)
 被害葉の処分

ウドン粉病

 ウドン粉をまぶしたように白い粉が葉、花枝に発生。ひどくなると葉がよじれる。
 17〜25℃で多発。
 (5〜7、9〜11月)

高温多湿を避ける。
 ベノミル剤(ベンレ−ト)
 チォファネ−ト剤(トップジンM)
 ジメチリモ−ル剤(ミルカ−ブ)

根頭ガン腫病

土中の細菌が、根、接ぎ木部分に侵 入して発生。暗褐色のコブを作る。
肥大すると、衰弱、枯死する。
菌は土中に残る。

導入時に根を調べ罹病株を持ち込まない。
土砂の入れ替え、焼き土。
アグロバクテリュム浸せき。

枝枯れ病

幹の表面に黒紫の斑点、中心部が灰褐色でくぼむ。
剪定時、切り口や傷口から病菌が侵入。

ハサミのアルコ−ル消毒
石灰硫黄剤
マンネブ剤
TPN剤

灰色カビ病

花弁に汚褐色斑点を生じ花が腐つて開花しない。後茶褐色のカビが発生。
花は元から落ちる。
気温20℃で多雨、多湿で、弁質の薄い花、重弁花に多発。

マンネブ剤
 チオファネ−ト剤
ベノミル剤

ベト病

葉に不規則な水浸、汚紫色の病斑。
後に落葉、茎は表皮が裂ける。
低温、多湿、結露で多発。

マンネブ剤
マンゼブ剤(ジマンダイセン)
通風を良くする。

ハダニ類

葉がかさかさになり、ひどいと葉裏に膜ができる。カスリ模様となり後落葉。
世代交代が早く、薬への抵抗力がつきやすい。
高温乾燥で多発。

ダニ専用剤
キノキサリン剤(モレスタン)
 テトラジホン剤(テデオン)
 クロルベンジレ−ト剤(アカ−ル)

バラクキバチ

新梢が柔らか時期にハチが飛来し茎に産卵(4月中〜5月上旬)
萎れて枯死。
晴天、無風の朝。

茎にテ−プやアルミホイルなど巻く。
(花下20p位まで)
 雑草の除去。

アブラムシ
スリップス

緑色の小さい虫が花枝や蕾に群がり樹液を吸う。
春先早くより発生
花弁の中にもぐり込む。

MEP剤(スミチオン)
 ピリミホスメチル剤(アクテリック)
 浸透性移行粒剤(オルトラン、ダイジストン)

 ヨトウガ
 マイマイガ
ハマキムシ
 クチバ

蛾の幼虫が葉や枝を食害

MEP剤(スミチオン)
 ESP剤(エストクス)
DMTP剤(スプラサイド)
 DDVP剤(デス)

テッポウムシ

ゴマダラカミキリの幼虫が株元や枝に侵入、食害、産卵。

幼虫の殺害
薬液の注入
カミキムシの補殺
 株元の清掃

ハナムグリ
 コガネムシ

花弁の食害、花弁にもぐり込む。
白、黄など薄い花色に侵入

ネットかけ
捕殺
雑草の刈取り

戻る