オオオニバス Victoria amazonica

オオオニバスとは

オオオニバスの名前

 初めてオオオニバスという文字を目にすると、「オ」が3つも続いて読みにくいな、と思うことでしょう。これを漢字で書くと、「大鬼蓮」となります。「鬼」は「トゲのある」という意味で、オオオニバスとは「大きなトゲのあるハス」という意味になります。
 オオオニバスの学名は Victoria amazonica (ビクトリア・アマゾニカ)です。ビクトリアはビクトリア女王にちなみ、「偉大な」とか「大きな」という意味も持ちます。アマゾニカはアマゾン川の流域に分布することからついたものです。

オオオニバスの分類と分布

 オオオニバスは南アメリカ原産のスイレン科の植物で、2種が確認されています。
 2種とは、オオオニバス( Victoria amazonica )と、パラグアイオニバス(Victoria cruziana )で、オオオニバスはブラジル周辺(アマゾン川の流域)に、パラグアイオニバスはパラグアイ・アルゼンチン方面(パラグアイ川-ラプラタ川の支流-流域)に分布しています。
 この2種の人工交配種はロングウッドオオオニバス( Victoria Longwood hybrid )と呼ばれます。自然界では2種の分布域が異なるので雑種はできません。

オオオニバスの種類と特徴

 オオオニバスの仲間は、野生種が2種と交配種が1種、あわせて3種あります。いずれも直径1mを越える葉を持ち、葉の裏や葉柄に鋭いトゲが多数生えています。
 それぞれの特徴を下に比較してみました。以下の番号は、1.原産地、2.葉の大きさ、3.葉の形、4.葉の色、5.その他の特徴を示しています。

オオオニバス

  1. ブラジル原産
  2. 3種中最大で、標準でも1.5〜2m。自生地では3mに達することもある。
  3. 丸い円盤状で、葉の縁はあまり立ちあがらない(0〜6cm)。当園のオオオニバスはほとんど立ちあがらない。
  4. 赤みが強い。葉の裏は濃い紫色、若い葉は赤茶色である。
  5. 葉数が多い。がく裂片にも多数のとげがある。

パラグアイオニバス

  1. 南米パラグアイ、アルゼンチン原産
  2. 他種に比べやや小さく、1〜1.5m
  3. 丸い盆状で、葉の縁は10〜20cm立ちあがる。
  4. 明るい黄緑色。
  5. 葉数は少ない。がく裂片にまったくとげがない。


ロングウッドオオオニバス

  1. 人工交配種
  2. 1.5〜2m。当園での最大記録は1.8m。
  3. 丸い盆状で、葉の縁は10cm前後立ちあがる。
  4. 赤みがかる。上の2種の中間色。
  5. 上の2種を人工的に交配して作ったもの。性質は上の2種の中間型。強健で育てやすい。

オオオニバスの栽培

 当園では、スイレン温室の完成した1986年以来、オオオニバスの栽培を続けています。

 実は、オオオニバスは一年草(冬を越すという意味では二年草)で、毎年タネから苗を育てて植え替えています。
  • 晩秋から冬にかけて発芽 → 生育にあわせて大きな鉢に植え替え
  • 5月下旬〜6月上旬定植
  • 定植時の葉の大きさ(直径)は20cm
  • 8月頃、葉の大きさが最大となる
  • 土の入替えを5月に行う。

     これらの作業は一般にはあまり知られていないため、冬から春にかけて来られたお客様から「×××で見たのより小さいね」という声をよく聞きます。皆さん来られた時に小さくても、夏には大きくなりますから、あまりがっかりしないでまた見に来てくださいね。
 オオオニバス試乗体験会の報告

 当園では、毎年オオオニバスの葉に乗る「オオオニバス試乗体験会」を行っています。
 
 例年8月に開催しており、来年度以降も実施予定です。植物が相手なので、生育状況によっては中止となる場合もあります。7月下旬には決定しますので、ホームページ・チラシ・電話等でご確認ください。

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